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May 04, 2005

薬害エイズ事件

先日帝京大学の元教授(厚生省エイズ研究班長)安部英が亡くなった。
これで彼に対する刑事責任を問う裁判も終結することとなってしまった。

非加熱血液製剤がHIV(エイズウイルス)に汚染されていることを承知しながらも、その輸入・使用を継続し続け、結果として血友病の患者の多くの人々がエイズに感染、何千人もの人々が若くして命を落としていった。
厚生省はこの事実を知りながらも販売中止の指示もせず、症例隠し、事実の隠蔽、責任逃れを行なってきたことが明らかになり、多くの国民の怒りをかったことは記憶に新しい。

じつは九州にいる私の友人も被害者のひとり。
彼は出血すると血が止まらなくなる病気、血友病の持ち主だった。血友病は遺伝子の異常で血液凝固因子が欠如することにより、出血が止まらなくなる病気。仮に彼がどこかに膝をぶつけてケガをした場合、当然血が止まらなくなる。そこで血液凝固成分の入った血液製剤を打たなければならない。彼はいつもバクスター社のラベルの入ったビン、いわゆる血液製剤を自己注射していた。出血や関節の痛みがあるときは何日もこの血液製剤を打ち続ける。

この血友病というものがどれだけ大変な病気であったことか...。
彼にとっては歯の治療ですらも命がけであった。
親知らずを抜かなければならなかったとき、当時大学病院で特別チームまで編成された。
当時私は歯を抜くから少しぐらいの入院で帰ってくるものと思っていたのだが、結果3回の危篤状態に陥ってしまう。後で聞くと手術に入るドクター達の衣服はまるで宇宙服を着るように頭からスッポリと覆われ、目にはゴーグルまでつけられていたという。そのいでたちを見て彼は非常なショックを受けていた。「オレは人間扱いされていない」

しかし、その後知らされた事実はさらに私を驚愕させることに。
彼は例の非加熱血液製剤によるエイズウィルスに感染していたことがわかった。前述したドクター達の防護服もこの事実を承知していたがためであった。その時私はすでに沖縄に来ていたのだが、九州から送られてきた彼の国を相手取った裁判の記録と公判でついたてを立てたまま、被害者証言をする彼の悲しい気持ちを切々と綴った手紙を読んで涙が出た。
裁判は和解が成立し賠償も行なわれたが、それでも本人の体は元には戻らない。その間にも彼の多くの友人たちが若くして命を落としていった。それを目の当たりにして、血友病と薬害エイズとの二重の苦しみを味わわなければならなかったことを思うと、いかに当時の厚生省の罪が重かったことか。

特に安部は当時厚生省エイズ研究班の班長で、大変な権威があった。よって彼がツルの一声で非加熱血液製剤の危険性を指摘すれば、いくら製薬会社が文句を言おうとも、輸入・販売は中止できたはずだった。
ところが彼らは皆ウラで利害関係にあったために、利潤追求のために患者はどんどん犠牲にされていった。安部はテレビに出て、みずからを詭弁とウソで塗り固め、ひと事もわびることはなかった。憶えている人も多いだろう。
その安部がそのうちにとうとう老人性痴呆症にかかり、公判延期、そして死亡。
彼の罪はとうとう断罪されることなく終わってしまった。

ところで九州にいる彼はその後エイズ治療薬もどんどん開発されていったおかげもあり、エイズを発症することなく、免疫機能を維持しているが、やはり血友病という重い病気とHIVのキャリアという重荷を背負って生きることにはなんらの変わりはない。

ただ本人は悲壮感を漂わせて生きているというわけではなく、納得いかないまでも自分の運命を受け止めて、明るく生きている。いつも冗談ばかり言って私を笑わせる人なのだが、こうして書いているうちに久しぶりに彼の声が聞きたくなってきた。今日は一年ぶりに電話してみよう!

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Comments

厚生省(国)の判断、実行は後手後手だと思います。何か、不都合なことが起こらないと、それまでは、権力のある方に流れている。
丸山ワクチンの効き目がどれほどあるがしれませんが、あの人が東京大学の教授だったら、認可されたかもみたいな記事を読んだことがあります。
話は、元に戻りますが、わたしが病院に勤めていた頃、ミドリ十字のフィブリノーゲンが内科にもかかわらず毎日のように使われていました。今のような状況を誰が想像したでしょうか。

Posted by: 今日子 | May 04, 2005 at 11:01 AM

今日子さんへ

コメントありがとうございます。
看護師さんだったんですね。
そういえば被害は血友病患者だけでなく、血友病以外の方々にもいましたよね。
もうこのような悲劇を繰り返さないでほしいものです。

Posted by: カズ@管理人 | May 05, 2005 at 01:26 AM

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Tracked on May 15, 2005 at 03:32 PM

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